六
彼の死んだ知らせを聞いたのはちょうど
「なおまた故人の所持したる書籍は遺骸と共に焼き棄て候えども、万一貴下より
これはその葉書の隅に肉筆で書いてある文句だった。僕はこう云う文句を読み、何冊かの本が
それから五六日たった
「Xは女を知っていたかしら?」
「さあ、どうだか……」
Kは僕を疑うようにじっと僕の顔を眺めていた。
「まあ、それはどうでも
僕はちょっと
「少くとも僕はそんな気がするね。」
僕はそれ以来Kに会うことに多少の不安を感ずるようになった。
(大正十五年十一月十三日)
彼の死んだ知らせを聞いたのはちょうど
「なおまた故人の所持したる書籍は遺骸と共に焼き棄て候えども、万一貴下より
これはその葉書の隅に肉筆で書いてある文句だった。僕はこう云う文句を読み、何冊かの本が
それから五六日たった
「Xは女を知っていたかしら?」
「さあ、どうだか……」
Kは僕を疑うようにじっと僕の顔を眺めていた。
「まあ、それはどうでも
僕はちょっと
「少くとも僕はそんな気がするね。」
僕はそれ以来Kに会うことに多少の不安を感ずるようになった。
(大正十五年十一月十三日)